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組長さんのこけしで脅される

随分前になりますが、名取の戸建てを落札しました。なかなか良い物件で、応札者も5人ほどいました。

落札直後、開札場で仲間の業者から声を掛けられます。「実は私も入札しようとしたんだ。でも、調査に言って呼び鈴を押すと、所有者が木刀を持って振り上げてきたんだ。大慌てで逃げ帰ったよ。あそこの所有者は、やばいから気をつけてよ。」とのこと。結局、その人は入札しなかったとの事。

私はというと、あまり調査もせず入札していましたから、「さあとんでもないことになった」と、目の前が真っ暗になりました。

話し合いに行きたくなかったので、手紙を書いて立退きをお願いします。もちろん、返答があるわけありません。

そうしていると、業者仲間から、その入居者を知っている、という話を聞きました。「あの人はうそつきだから気をつけたほうがいい。でも、目的はお金だから、お金だったら解決できるかもしれない」。私の利益を削って、高額な立ち退き料を払うしかないのか‥。

しばらく様子を見て、強制執行をお願いしました。執行官二人のもと、初めて占有者と向き合いました。50歳代くらいの恰幅がよい方でした。執行官は「退去しないと執行をして出ていただくことになります」。占有者は「私は今病気で心臓がよくない。体調も悪いので今は出られない」。長期戦の構えです。

そこで、私は「○○○万円を立ち退き時に出しますので、出て行ってもらえませんか」と提案します。執行官の助力もあり、なんとか話し合いはまとまりました。1ヶ月退去となり、ほっとしました。

引渡当日、荷物は無く、立ち退き料を払ったのですが、占有者はなかなか立ち去りません。奥の方から段ボール箱を持ってきて、私によこしたのです。なんと、色々な組長さんの名前が入っているこけしがいっぱい。内心ではドキドキでしたが、いらないというわけにもいかず、平静を装いつつ受け取りました。

そのうち、照明器具は私のだとかなんとか言って、さらにお金が欲しい様子。これ以上要求されてはたまらないので、「もう用があるので」と強く言って引き取っていただきました。

※今は法律が変わり、立ち退き料を払わなくとも、執行されると1ヶ月を目処に強制退去となります。

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